江戸切子と薩摩切子の「違い」を徹底比較!購入時に後悔しない選び方ガイドも紹介

「江戸切子と薩摩切子の違いが知りたい」
「どちらが高い?」
このように考えていませんか?
大切な方への贈答品や自分へのご褒美として、切子の購入を検討している方もいるでしょう。日本の代表的な切子として、江戸切子と薩摩切子が広く知られていますが、それぞれの違いが分からない方は少なくありません。
この記事では、江戸切子と薩摩切子の違いや特徴を解説します。両者の違いを知り、納得の一品を選ぶための参考にしてみてください。
目次
【比較表】江戸切子・薩摩切子の主な違いと特徴
江戸切子と薩摩切子は、日本の誇る精巧なガラス工芸品です。どちらも素晴らしい職人技が光る製品であり、それぞれ異なる特徴を持っています。
両者の違いや特徴は下表のとおりです。
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江戸切子・薩摩切子の比較表
江戸切子 薩摩切子 ガラスの厚み 薄い 厚い カットの特徴 浅く精密 深く大胆 重さ 軽くて繊細 重量感があり手に馴染む 色 透明ガラスと色ガラスの境が明確 透明ガラスと色ガラスの境が曖昧 デザイン 伝統的な文様 独自の文様 技法 色ガラスを薄く重ねる 色ガラスを厚く重ねる 伝統工芸品 日本の伝統工芸品 鹿児島県の伝統工芸品
上記の各項目について解説します。
ガラスの厚み
江戸切子のガラスは厚みが1mm程度の物が多く、薄いのが特徴です。一方、薩摩切子は5mm以上になる物が多く、江戸切子と比べると厚い特徴があります。
カットの特徴
江戸切子は浅く精密なカットが特徴です。くっきりとした細いカットによって、きらびやかな光の反射が生まれます。
対して、薩摩切子のカットは深く大胆なのが特徴であり、持ったときにゴツゴツとした手触りを感じられます。
重さ
江戸切子は軽量で扱いやすいのが特徴です。綿菓子のように持ち上げたときにふわっとした感覚があります。
一方、肉厚なガラスの薩摩切子は、手に取るとずっしりとした重みを感じます。適度な重厚感であり、手に心地よく馴染むでしょう。
色
江戸切子は色ガラスと透明ガラス部分の境界が明確です。カット面から、色の層と透明なガラスが鮮やかなコントラストを見せます。
対して薩摩切子は、色ガラスと透明ガラスの間にグラデーションがあるのが特徴です。この美しいグラデーションは「ぼかし」と呼ばれ、温かみのある風合いを感じさせます。
デザイン
江戸切子は直線的な幾何学文様が主体です。麻の葉・魚子文(ななこもん)・亀甲など、伝統文様が多く用いられています。
一方、薩摩切子は伝統文様だけでなく、薩摩縞や自然をモチーフにしたデザインが施されるのが特徴です。動物・植物など豊かな自然が文様として表現されています。
技法
江戸切子は透明ガラス表面に薄い色ガラス層を被せる技法が特徴です。また、円を描くようにカットする「輪切り」や直線にカットする「線切り」を施して繊細な文様を作ります。
対して薩摩切子は、透明ガラスに厚みのある色ガラスを重ねる技法が特徴です。表面を斜めにカットする「面取り」や丁寧に研磨する「磨き」によって温かみも演出しています。
伝統工芸品
江戸切子は国の定める伝統的工芸品として認定されています。一方、薩摩切子は国の伝統的工芸品には指定されていません。
薩摩切子が伝統工芸品に指定されていない理由は、経済産業省が設けた以下の条件を満たしていないためです。
- ・主として日常生活の用に供されるもの
- ・その製造過程の主要部分が手工業的
- ・伝統的な技術又は技法により製造されるもの
- ・伝統的に使用されてきた原材料が主たる原材料として用いられ、製造されるもの
- ・一定の地域において少なくない数の者がその製造を行い、又はその製造に従事しているもの
薩摩切子には一度製造が途絶えた歴史があります。そのため、上記の条件全てを満たせず、伝統工芸品に指定されていないのです。
しかし、薩摩切子は鹿児島県の伝統的工芸品として認定されています。
参考:鹿児島県|伝統的工芸品
どちらが高い?江戸切子・薩摩切子の値段
江戸切子と薩摩切子の値段を比較して、どちらが高いか判断するのは難しいと言えます。値段は、それぞれの工房や作品によって大きく異なるためです。
使用する素材・ブランド戦略・出展料・広告費用などのコストも影響します。
手頃なものであれば5千円程度から購入できますが、高価な品になると数万円以上の値段がつくことも珍しくありません。
歴史を知ると面白い|江戸切子・薩摩切子が誕生した背景
江戸切子と薩摩切子は、どちらも日本を代表する有名な切子です。しかし、誕生した経緯や歴史的な背景は大きく異なります。
本章では、それぞれの切子がどのように誕生・発展してきたのか解説します。薩摩切子の製造が一度途絶えた経緯についても触れるため、ぜひご覧ください。
江戸切子の歴史
江戸切子は江戸時代後期、1834年に誕生しました。
江戸伝馬町でガラス店を営んでいた加賀屋久兵衛が、英国製のガラス製品を模してガラスの表面に金剛砂(こんごうしゃ)を用いて彫刻を施したのが始まりとされます。
明治時代に入ると、日本は積極的に西洋の技術を取り入れるようになります。同時期に英国から訪れた「エマニエル・ホープトマン」の指導により、ガラス製品の製造技術が飛躍的に向上しました。
その後、指導を受けた職人たちが全国に技術を広め、江戸切子ならではの繊細で精緻なカット技法が確立したのです。
現代に受け継がれる江戸切子は、1985年に東京都の伝統工芸品に、2014年には国の伝統的工芸品としても認定されました。
薩摩切子の歴史
薩摩切子は江戸時代後期、1846年に誕生しました。当時、薬品に耐えうるガラス製品が必要とされており、薩摩藩主である島津斉興(しまづなりおき)によって製造されたのが始まりとされています。
海外の技術を積極的に導入した薩摩切子は多くの注目を集めます。特に薩摩藩でしか再現できなかった「紅色」の切子は話題を集め「薩摩の紅ガラス」と呼ばれ、国内はもちろん、海外からも注目されました。
しかし、1858年には当時の藩主である島津斉彬が急逝。さらに、薩英戦争などの影響が向かい風となり、ガラス事業は衰退し、製造が途絶えてしまいます。
薩摩切子は百余年にわたり「幻の切子」と呼ばれ、製造は行われませんでした。
再び日の目を見たのは1985年です。残っていたわずかな資料やガラス片をもとに、往時の製品を復元する取り組みが始まり、1986年には販売が開始されました。
1989年には鹿児島県の伝統工芸品に指定され、現在は全盛期と同様に国内外から高く評価されています。
【購入ガイド】最適な切子を選ぶ際に意識したいポイント
切子を購入する予定なら、以下のポイントを押さえておくとよいでしょう。
- ・好み
- ・用途
- ・予算
それぞれ解説します。
好み
最適な切子を選ぶには、自分の好みを重視するのが大切です。鮮やかな発色・深みのある落ち着いた色合いなど、切子が見せる顔はそれぞれ異なります。
素材感や重みも重要な判断基準です。薄く繊細な手触りの江戸切子・肉厚でずっしりとした薩摩切子、どちらが好みか実際に手に取って判断するとよいでしょう。
用途
切子を選ぶ際は、どのような目的で使用するのか考えましょう。贈り物として購入するなら、贈る相手の好み・切子が使われる場面を想像して選ぶのがおすすめです。
自分用として探しているなら、手になじむ形やお手入れしやすいデザインを選ぶと、日常的な使用に困りません。
予算
切子の価格は、作家・製造された年代・品質・ブランドなどによって幅広く変動します。
無名作家の作品や状態の良い中古品など、手頃な価格帯の品もあれば、有名作家や伝統工芸士の作品など、高級な切子もあります。
予算を決めてから探せば、後悔しない買い物になるでしょう。
江戸切子・薩摩切子の購入場所
江戸切子と薩摩切子はさまざまな工房や店舗で販売されています。実店舗だけでなく、オンラインショップでも購入可能です。
江戸切子の代表的な購入先として、カガミクリスタルや廣田硝子などが知られています。薩摩切子は、島津薩摩切子や薩摩びーどろ工芸株式会社などが有名です。
【豆知識】日本のガラス製品の歴史
日本におけるガラスの歴史は古く、古墳時代にまで遡ると言われています。現存する中で最も古いガラスの器は「白瑠璃埦(はくるりのわん)」であり、シルクロードによって渡来したと言われています。
白瑠璃埦をきっかけにガラス製品の文化が根付くかと思いきや、その後、戦国時代に入るまで大きな注目を集めることはありませんでした。
戦国時代末期に生じた南蛮貿易でヨーロッパのガラス製造技術が伝わったのをきっかけにガラス製品に注目が集まります。
その後、日本国内でのガラス生産が本格化し、さまざまなガラス製品が作られるようになりました。明治時代にはガラス製品の技術が向上し、より普及するようになり、昨今のように日常的に使われる物となったのです。
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まとめ|江戸切子・薩摩切子の違いを知れば切子がもっと面白くなる
江戸切子と薩摩切子には、ガラスの厚みやカット技法など、さまざまな違いがあります。違いを知っておけば、最適な切子を見つける鍵となるでしょう。
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